【※ネタバレあり】アリーナツアー図鑑|「死と再生」の表現を考察

「ゆず」について

 2024年10月19日(土)から始まった「YUZU ARENA TOUR 2024-2025 図鑑」。10月25日の結成記念日には、追加公演の発表もされました。
 私もライブに参戦してきましたので、その記憶を頼りに図鑑ツアーを考察していきたいと思います!

【※ご注意】
 このページには、セットリストが記載されていますので、ネタバレを望まない方はライブの後に読むことをおすすめします。

アルバム「図鑑」のテーマ

 アルバム自体のテーマは、Rockin’on 2024年8月号のインタビューで「死と再生」と明かされています。
 アルバム内にも、花言霊や十字星、ビューティフル等、そのテーマを説明してくれる楽曲が収録されています。また、一見して死とは関係が薄そうな曲にも「死と再生」を意識させるような仕掛けがなされています。
 例えばChururiのMVには墓標の前で涙を流す人物が映っていたり、伏線回収はドラマ「南くんが恋人」の主題歌ですが、ドラマでは余命わずかな「南くん」との別れが描かれています。「伏線回収」の「胸の中(ここに)いっつも いるんだよ 君が」という仮名の振り方は、以前北川さんが父を失ったときに書いた「逢いたい」の1フレーズ、「あなたはいつも 心(ここ)にいるから」を連想させました。

 その一方、テレビや雑誌等によると、タイトル曲である「図鑑」はページをめくる時のような”ワクワクする気持ち”と共に作られているようです。

 「死と再生」と、「ワクワクする気持ち」。この2つのテーマがどのように表現されたかに着目して、このツアーを見ていきたいと思います!

セットリスト

 ツアーについて考える際に、セットリストは欠かせません。セトリと共に、演出の一部を記憶の限り載せておきますので、ぜひご覧下さい。

1:Overture-harmonics-
図鑑 × AMKK のコラボムービー 「EXOBIOTANICA3 -Botanical space flight-」が流れました。我らがリーダー北川悠仁が、砂漠の中に一人。そこから、花を乗せた観測気球が打ち上げられました。

2:図鑑
ゆずのお二人が、ステージの奥の方に登場。間奏では、雷の降り注ぐ映像と共に、客席側まで光線が走りました。ステージ上が真っ暗になり、次にスポットライトがつく頃には、ゆずさんがステージの手前へと移動していました。間奏が終わり歌唱パートに移る頃には、映し出された空も穏やかな様子に。

3:かける

4:RAKUEN

MC:このツアーは冬から春にかけて行われると説明された。懐かしい冬の曲を用意している、とのことで次の曲へ。

5:みぞれ雪

6:いつか

7:シャララン

8:つぎはぎ

9:SUBWAY
暗いステージ、後ろの巨大スクリーンには交差する列車が映り、曲が始まります。演奏中は、赤い横長なランプの光が映り、まるでこちらを向いた列車の先頭車両のように見えました。
もちろんSUBWAYですので、曲の1番が終わるまでは2人で、そこからはバンドが加わり演奏されました。

10:十字星
SUBWAYの列車が発車し、星空の中を走ります。この曲は、銀河鉄道の夜をモチーフとした「氷艶2024〜十字星のキセキ〜」の主題歌でもあったため、この演出がバッチリハマっていたように思います。終盤の掛け合いでは北川さんが客席側へ突き出たステージへ移動し、岩沢さんの方を向いて歌っていました。

11:青
曲の頭のサビは、北川さんのソロでゆっくりと歌われました。イントロで加速し、いつもの青のテンポに戻ります。その間に、北川さんも岩沢さんの隣へと戻っていきました。
また、アウトロの合唱では北川さんが「もっと来いっ!もっと来いよぉ!」と叫んでいました。

小休憩
ゆずのご当地図鑑
ゆずのお二人が日産サクラで移動している様子が映し出されます。横浜の観光地が紹介されました。

伏線回収ダンスレクチャー
レクチャー動画ではなんと、寿司職人に扮したゆりやんレトリィバァさんが出演。

後半戦の開始からは、北川さんの衣装が赤、岩沢さんの衣装が青でした。色味は丁度、2023年のライブHIBIKIのBlueとRed。ここで水色の照明が舞台を照らし、ビューティフルを想い起させました。

12:スミレ

13:花言霊
2番Aメロ後の間奏では、スクリーンの前でダンサーさんがソロで踊り、その場所に花が形作られていきました。花はアルバムのジャケットにもある3種、Papaver rhoeas、Pulsakilla cernua、Hyacinthus orientalis だったと思います。

14:ワンダフルワールド

15:栄光の架橋

16:Frontier
ゆずさんが、二人揃って客席側のステージへ。演奏中はフラッグが活躍しました。曲の終わりで後ろのステージへ戻るとき、なぜか岩沢さんがギターを抱えて猛ダッシュ。

17:夏色
「季節は冬…でも無いけど、夏の曲!」と、北川さん。再録バージョンに近い演奏で、図鑑の青、赤、緑、黄の4色の銀テープがアリーナの各コーナー事に降り注ぎました。毎度お馴染み、北川さんが花道を通るコーナーでは、「花くばりおじさん」こと北川さんがお客さんへ花を手渡し。それが終わってステージへ戻ると、今度は客席側へ突き出たステージから、細かい銀テを撒いていました。花咲かじいさん…

18:Chururi
夏色が終わる頃、ステージには一面花のセットが。生花のような匂いがしたので本物の花だった可能性がありますが、分かりません。

19:Interlude-harmonies-

20:ビューティフル
この曲で、お二人の衣装が白に。ラスサビでは、天井から蝶を形取ったものが上からひらひら舞い降りてきました。

21:伏線回収
曲のラストで、サビのリピートがありました。この時、ステージ上の映像は巻き戻され、ロサンゼルスの砂漠が映ります。せっかく花を咲かせられたのに、また砂漠…と思っていたら、なんと北川さんがそこで伏線回収を踊っているではありませんか。

追加公演発表「spring has come」
この日、ライブの終わりに追加公演が発表されました。

公演終了後:スクリーンに「愛するみなとみらい」「またあおう」と書かれておりました。

図鑑ツアーを考察

 ゆずのファンクラブ会報誌やその他インタビュー記事等から、「図鑑」はビューティフルへと収束するアルバムである事、そしてビューティフルのテーマは「死と再生」である事が分かっています。
 この死と再生を、冬と春(夏)に対応させて表現したと、私は考えました。

 まず、この図鑑ツアー自体が秋の終わりから冬、そして春にかけて行われており、それについてMCでも説明されていました。
 セットリストでも、前半は冬の曲。後半からスミレや花言霊などから「開花」を思わせるような演出が続き、終盤にかけて熱量の大きい曲たちが並んでいます。そして、最後の曲は伏線回収という夏の曲です。
 一曲目のOverture-harmonics-が砂漠の映像と共に始まったのに対し、最後は花いっぱいのステージで幕を閉じました。この事からも、セットリストの前半で死を、後半で再生を表現したと考えられます。


 また、今回のツアー「図鑑」のロゴですが、「図」の中が時計回りに青、赤、緑、黄色で塗られています。この色がそれぞれ冬、春、夏、秋を象徴しているのではと考えると、「季節」が今回のツアーを紐解く鍵であるのでは…と疑うことができます。
 追加公演のタイトルが「Spring has come」である事も偶然ではないでしょう。Sが緑、iが黄、nが青、gが赤色で表示されていますが、季節が夏→秋→冬→春と巡って「春が来た」という意味を含ませた可能性もあります。図鑑と名付けるきっかけにもなった「わくわくする気持ち」を、様々な生物が動き出す「春」と重ね合わせたのではないかと考えました。

 

まとめ

 本記事では、図鑑ツアーについて考察しました。
 ツアーでは、ライブの前半に冬と死を。ライブの後半に春と再生を表現し、「わくわくする気持ち」を春と重ね合わせた可能性を考察して参りました。

 ビューティフルが持つ「死と再生」という重たいテーマと、図鑑の「わくわくする気持ち」。この2つがどのように共存しうるのか、ずっと気になっていたのですが、ライブ全体を通して「冬と春」に対応させる事で、1つの作品の中に収めているようでした。

 今回は以上です。ここまで読んで下さり、どうもありがとうございました!

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